mtgwikiをマルパクして駆使してレガシーの有名デッキの歴史を振り返ってみるテスト。やたらと長いんで暇なひと推奨。
今回はレガシーが開始した初期から存在し、今なおメタゲームの中心の地位を保ち続けているカナディアン・スレッショルド。最初期は青緑スレッショルドとして出発し、火力のために赤をタッチすることであらゆるデッキに対応可能なスピードと汎用性を獲得したデッキです。

2005年
青緑スレッショルドはオデッセイ期のスタンダードのデッキを元にして、レガシー開始初期から試されていたが、その構成色のためにクリーチャー除去を採用しにくく、当時のトップメタにゴブリンがいたこともあってデッキパワーが不足していた。このため第3の色をタッチして汎用性を確保する方向性に展開し、候補色として挙げられたのが《剣を鋤に》の白と《稲妻》の赤の2色だった。どちらも環境を代表する1マナ除去であり、現在でも定番のカードだ。白をタッチしたものは現在のバントとして形を変えて発展し、赤をタッチしたものがカナディアン・スレッショルドとして継承されている。2005年にアメリカで開催された初めてのレガシーのグランプリ、GPフィラデルフィアではタッチ白型が2人、タッチ赤型が1人ベスト8に入賞している(http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Events.aspx?x=mtgevent/gpphi05/welcomea)。デッキリストを見てみよう。

GPフィラデルフィア 6位 Pat McGregor

4 Flooded Strand
2 Island
4 Polluted Delta
4 Tropical Island
4 Volcanic Island

2 Fledgling Dragon
4 Nimble Mongoose
4 Werebear

4 Brainstorm
4 Counterspell
4 Daze
4 Fire//Ice
4 Force of Will
4 Lightning Bolt
4 Mental Note
4 Serum Visions

Sideboard
3 Naturalize
4 Pyroclasm
1 Pyroclasm(※おそらくPyroblastの間違い)
2 Red Elemental Blast
2 Tormod’s Crypt
3 Winter Orb

7年分のカードプールの違いがあるため採用されているカードが大きく異なるが現在のカナスレの骨格が随所に見られるリスト。《Force of Will》、《目くらまし》に続くカウンターとして《対抗呪文》が採用されているあたりは流石に時代を感じてしまうが、速いターンにクロックを展開し、火力とカウンターで血路を切り開いてビートダウンを遂行するという基本的なコンセプトはこの頃から確立されている。
土地に《不毛の大地》が採用されていないのが意外かもしれない。この頃のトップメタがゴブリンやピキュラ黒といった基本地形を多く積み込めるデッキだったことを考えると《不毛の大地》のためのスロットを確保することができなかったということか。2年後の2007年に開催されているGPコロンバスでも《不毛の大地》が採用されていないデッキがベスト8に入賞している(http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Events.aspx?x=mtgevent/gpcol07/welcome ページ中段で紹介されているPaul Nicoloのデッキ)ため、この構成はこの時期では普通のものだったと思われる。なおこのGPコロンバスでは次元の混乱までがリーガル。この事実はとても重要です。


2007年
現在のカナスレの形が確立されたのは未来予知によって獲得された最強のバニラこと《タルモゴイフ》がトーナメントで使えるようになった時期だ。2007年のGen Conの会場で開かれたレガシー選手権07に4位入賞したDavid Caplanのリストを見てみよう(http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtgcom/daily/bd295a

レガシー選手権07 4位 David Caplan

3 Flooded Strand
3 Polluted Delta
4 Tropical Island
4 Volcanic Island
4 Wasteland

4 Nimble Mongoose
4 Tarmogoyf

4 Brainstorm
4 Daze
4 Fire // Ice
4 Force of Will
4 Lightning Bolt
2 Mental Note
4 Opt
4 Spell Snare
4 Stifle

Sideboard
3 Engineered Explosives
2 Krosan Grip
2 Pyroblast
3 Pyroclasm
2 Red Elemental Blast
3 Tormod’s Crypt

とても「見慣れた」デッキリストだといえるだろう。4枚ずつ採用された《不毛の大地》と《もみ消し》。必要なものだけ選び抜かれ、最小限のスペースとなった土地とクロック。メインでの2マナ以上のカードは《タルモゴイフ》と《火+氷》のみ。この大会ではベスト8までで20枚の《タルモゴイフ》が採用されており、《タルモゴイフ》が実に衝撃的なクリーチャーであったかがわかる。そのため、相手の《タルモゴイフ》に火力で対応できないこのデッキでは追加のカウンターとして《呪文嵌め》がメインボードから4枚採用されている。現在のリストと比べるとクロック数に不安が見えるリストであり、追加のクロックとして《クウィリーオンのドライアド》、あるいは《熊人間》を採用した形も存在したようだ。

同時期の類似デッキとしてタッチ色を黒にしたダークスレッショルドが存在する。タッチの黒は定番の《闇の腹心》と《思考囲い》だけがメインで採用されており、現在同じカラーパイで構成されるチーム・アメリカと比べるとカナスレに近い形だといえる。2007年の世界選手権のレガシーラウンドでは日本が誇るデッキビルダーの八十岡翔太がこのデッキを選択し好成績を残している(http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Events.aspx?x=mtgevent/worlds07/legacydecks)。またタルモゴイフ同士の対決を《剣を鋤に》で乗り越えることができるバントカラーのスレッショルドも依然として存在していた。


2008年〜2011年
レガシー選手権07での成功以降、カナスレはレガシー有数の高速クロック・パーミッションとして定着することになる。カウンターやクロック、火力の選択で細かな違いは出てくるものの基本的な形は2007年以降ほとんど変わらなかった。実際、レガシー選手権07で上述のリストを使ったDavid Caplanは2年後のGPシカゴで新しいドローソースとしての《思案》と数枚のバウンスを加えた以外メインボードはほとんど変わらないリストを持ち込み、ベスト8に入っている(http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtg/daily/eventcoverage/gpchi09/top8decks)。

しかしこの時期のカナスレは優秀なコンセプトを持ちながらも、クロックとなるクリーチャーを8枚程度しか採用しておらず、1体でもクロックを処理されてしまうと打撃力不足になりやすいという明確な弱点を抱えていた。アラーラの断片以降は《野生のナカティル》や《聖遺の騎士》など《タルモゴイフ》に比する、あるいは凌駕するクリーチャーが多く登場したこともあって地上を封鎖されることも少なくなかった。特に2009年以降はZooの台頭によって高速ビートダウンとしてのカナスレの魅力は削がれ、《聖遺の騎士》に加えて《土を食うもの》まで採用したバントカラーのNew Horizons、対コンボ耐性で勝るBUGカラーのチーム・アメリカなどクロック・パーミッションの選択肢が増えたこともあって、トーナメントでの露出度は一時期ほどは多くなくなってしまった。

さらに2枚の禁止カードを排出した2011年はより深刻な危機がカナスレを襲っていた。まず最初に1月に禁止された《適者生存》が存在していた頃に構築可能だった蔦サバイバルの存在である。より少ない色でカナスレと同程度のスピードを確保できる蔦サバイバルは環境のメタゲームの中心となり、デッキの選択肢としてのカナスレを駆逐していた。《適者生存》が禁止された後は新たなるファイレクシアから《精神的つまづき》が登場した。もちろんこのカードはカナスレでも多く採用されるカードだったが、被覆が最大の売りである《敏捷なマングース》に対してカードアドバンテージとテンポを失わず対処可能な《精神的つまづき》はカナスレの弱点をつくカードでもあった。そうでなくてもデッキの大半を1マナで固めるデッキなので、カウンター、除去、クロック、ドローのいずれにも干渉可能なカードが環境のあらゆるデッキから飛んでくるのは逆境以外の何ものでもなかっただろう。結局レガシー環境を荒らしに荒らした《精神的つまづき》は5ヶ月で仕事を終え、同時にイニストラードの発売でカナディアン・スレッショルドにも大きな転機が訪れることになる。


2011年〜
《秘密を掘り下げる者》の登場がカナディアン・スレッショルド、そして環境全体に与えた影響は非常に大きい。わずか1マナでパワー3というだけでも十分破格な上に飛行によって対戦相手の展開するクリーチャーを無視して確実にクロックを刻むことができるカードの登場によって、従来カナスレが抱えていたクロックの問題は劇的に改善されることになった。イニストラード発売直後に行われたGPアムステルダムで準優勝に輝いたCiro Bonaventuraのデッキリストを見てみよう(http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/eventcoverage/gpams11/welcome#0)。

GPアムステルダム 2位 Ciro Bonaventura

1 Flooded Strand
2 Misty Rainforest
1 Polluted Delta
1 Scalding Tarn
3 Tropical Island
4 Volcanic Island
4 Wasteland
2 Wooded Foothills

4 Delver of Secrets
3 Nimble Mongoose
4 Tarmogoyf

4 Brainstorm
4 Daze
2 Dismember
1 Fire // Ice
4 Force of Will
4 Lightning Bolt
4 Ponder
4 Spell Snare
4 Stifle

Sideboard
2 Engineered Exprosives
2 Firespout
4 Leyline of the Void
2 Pyroblast
2 Red Elemental Blast
3 Spell Pierce

2007年のDavid Caplanのリストと比べると、骨格は変わらないものの火力の除去の選択と《秘密を掘り下げる者》の加入によってスピードと安定性が高まった印象が強い。《秘密を掘り下げる者》はチームアメリカなどの他のクロック・パーミッションでも高い採用率を誇り、WotCが発表したTop 5 Cards of Grand Prix Amsterdam 2011(http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/eventcoverage/gpams11/welcome#7)でも筆頭に挙げられている。

こうしてカナスレはレガシー環境随一のクロック・パーミッションとして復権し現在に至る。ラブニカへの回帰で《安らかな眠り》、《死儀礼のシャーマン》などの強力な墓地対策が登場したことは確かに逆風ではあるものの、除去とカウンターによって対処可能だ。現在のカナスレは《もみ消し》の採用の可否や、稲妻に続く除去として《二股の稲妻》、《四肢裂断》、《Chain Lightning》などの選択肢を持ち、節枝末葉で様々なバリエーションがあるデッキでもある。
レガシー環境に存在するほぼあらゆるデッキに対して刺さるコンセプトを昇華し洗練してきたカナディアン・スレッショルドの旋風はしばらくやまないだろう。


最後適当な煽りを入れてしまったけどこんな感じで。wikiにたよって使ったこともないデッキの説明をしているので間違っていたり勘違いしてる部分があるかもしれません。ここ違うんじゃねとかある人はコメント欄にて始動してくださるとありがたいですm(__)m

コメント

M
2013年3月27日18:32

 本当にタルモ前・タルモ後でデッキ構成変わりますよね、カナスレ。あと、MMの禁止後。MMに関してはアレ1種類でいろいろ酷いことになってたし、禁止も仕方ないこととは思いますがね。

やどん@ツネニアクアマン
2013年3月27日19:36

思考掃きが好きな私は昔のリストで留意が入っているのを見て懐かしくも嬉しく思ったりw

MTGAnglerfish.アンコウ
2013年3月28日3:42

歴史上のデッキを知ることは新たな発想に繋がったり、構築の基礎を学ぶことがあるので大変勉強になります!

アッツー
2013年3月28日15:02

ドレッジ編も読んでみたいです!

シュウ@右手弱い系男子
2013年3月30日23:15

今日はドラフト最終戦であたった者です。ありがとうございました^^
あと、ずっとリンクするの忘れていたので、リンクさせて頂きました。

和歌ロック
2013年3月31日17:09

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